2021年10月28日に投稿

東工大総合型選抜(旧AO入試)合格体験記 2017年

現在の東工大入試では「総合型選抜」という名称になりましたが、その前身となる東工大AO入試に合格したLANDFALLの部員の合格体験記です。 (この記事は、2017年発行「LANDFALL秋の増刊号」より再掲載しています。)

目次

  1. M.T.さん の東工大合格体験記 | 4類(現 工学院)
  2. N.N.さん の東工大合格体験記 | 7類(現 生命理工学院)
  3. N.K.さん の東工大合格体験記 | 7類(現 生命理工学院)

❐ 4類(現 工学院) M.T. 浪人

予備校 河合塾
センター得点 832/950
本試験得点 62.66/100

■併願先・合否

  • 東京大学理科二類 未受験
  • 横浜国立大学理工学部 未受験
  • 早稲田大学創造理工学部 未受験
  • 慶應義塾大学理工学部 合格
  • 慶應義塾大学環境情報学部 未受験

■受験のきっかけ

東工大のAO入試は国立大学や私立大学の入試よりも早い2月上旬に行われ、数日後に合格発表があります。ここで合格し東工大への入学手続きをした場合、他の国立大学の受験資格(前期日程、後期日程)は失われます。私は東大が第一志望だったのですが、浪人ということもあり、「東大に落ちたとき他に行くよりは東工大へ」と考えてAO受験を決めました。

■対策

まず、東工大の公式サイトで公開されているAO入試の過去問に全て目を通しました。一般的な物理や数学の入試問題に近いものもあれば、全く手のつかない問題もあり、4類AOに特化した対策はできませんでしたが、意味を理解した上で微分と積分を自由に使える必要があるように感じました。

センター試験は2次試験に進むためのいわゆる足切りに使われますが、4類AOは80%程度の得点では足りず、85%付近のそれなりに高いラインになっているようなので、2次試験よりもセンター試験の対策により力を入れました。

実は現役の時にも4類AOを受験しており、人によっては面接の前にそれなりに待たされるということを知っていました。その間、参考書や筆記用具などを出して勉強することができるのですが、何を勉強すればいいかもわからず、ただ待ちくたびれるだけで、長く待つ人の方が損なのではないかと感じました。そこで、今年は一番早い受験番号をゲットすれば必ず一番に面接に行けるのではないか、と考え、私は去年12月のAO入試出願開始日前日の深夜、東工大の配達を担当する目黒郵便局まで行き、その場で出願書類を郵送しました。その後ネットで追跡情報を確認したところ、出願開始初日である翌日の午前9時頃に東工大に配達されており、出願の一番乗りを確信しました。

■当日

午前には筆記試験があり、2時間で大問が2つありました。1つは物理の問題で全体的には簡単でしたが、最初の方の小問で微分方程式(現行のカリキュラムでは高校で学習しない)を解く必要があり、私は学習したことがなかったため、その問題には固執せずに即座に捨て問と判断しました。入学後周りのAO入学者に聞いたところ、普通に微分方程式の解き方を知っていたという人もいて(学校独自で教える高校がそれなりにあるようです)、一般の入試には出せないAO入試ならではの問題と感じました。

もう1つの大問はちょっとした最適化の問題でしたが、数式の表現が複雑で、アルゴリズムの理解も難しく、中盤で行き詰まり、完答はとても不可能でした。しかし最後の小問はよく読むと独立している問題で、答えだけは簡単に出すことができました。全体を通して、取れるところを取るということを徹底するのは重要だと思います。

出願時の思惑通り、受験番号が4類AOの42人の中では一番早かったため、昼食後の午後の面接では、ほとんど待ち時間ゼロで面接を受けることができました。受験番号にまでこだわる話をすると「そこまでやるか」と言われてしまいそうですが、それにより精神的・肉体的な余裕を得られたのは大きかったのではないかと思います。

4類AOの面接の大きな特徴は、自己紹介や自己アピールが一切ないことです。まず与えられた問題についての説明資料を紙とペンで作成し、教授ら3人の前でそれをプロジェクターに映しながら5分間で説明し、その後問題に関連した質疑応答があります。簡単な質問から、答えがあるのかもわからないような質問まであり、あくまで答えにこだわらず、思考のプロセスを説明しながら物理的な思考力をアピールできればいいように感じました。

P.S. 数学と物理が苦手な自分が、数学と物理で東工大に入ることができたという事実を考えると、東工大のAOは「穴場」と言っても過言ではないと思います。よくあるAO入試とは違って、高校時代の実績などが一切必要なく、前期試験や後期試験と併願することもでき、受験の機会を増やせる大きなチャンスなので、東工大が第一志望の人はもちろん、他大志望の人もAO受験を考えてみてはどうでしょうか。


❐ 7類(現 生命理工学院) N.N 浪人

予備校 河合塾
センター得点 814/950
本試験得点 66.2/100

■併願先・合否

  • 早稲田大学教育学部生物専攻 合格
  • 東京理科大学理学部応用化学科センター利用 合格
  • 明治大学農学部 合格

■受験のきっかけ

みなさんこんにちは。また7類かよ、またAOかよとお思いの方もいるかもしれませんがお許しを。7類AOで東工大に入学しました、N.Nです。いえーい。

前置きはこのくらいにして、私の合格体験記ならびに受験体験記をお話ししようかと思います。私が受験した東工大7類のAO入試は、東工大で唯一の「受験科目が生物」である入試方法です(ここまでお読みの方はもうご存知かもしれませんね)。東工大は、前期入試は理科に関しては物理・化学の2科目、後期入試はトータルで化学の1科目(センターは基礎でない理科から2科目)の形態をとっており、普通であれば前期入試を生物選択者が受験することは出来ません。後期は化学のみですので可能と言えば可能ですが……。そういうわけで、当初私の頭の中には東工大を受験するなんてことは1μmもありませんでした。

そんな私が東工大AOを受験するきっかけとなったのは、予備校の友人の、東工大6類AOを受けるというひとことでした。高校時代の成績も関係ないよ、もしかしたら化学で受けられるかもよ、と言われ調べてみると、なんと生物で受験出来ることが分かりました。生物で受けられるならこりゃやるしかない、受かれば儲けもんだくらいの軽い気持ちで出願を決めました。結局、センターが当初の目標に至らず、第一志望だった東大を受けても無理だったら……と思い、東工大にシフトすることを決めました。

■対策

当時生物に関してやっていたことは、生物チャートで内容を頭に入れ、東大の過去問を解き、予備校のカリキュラムに沿って問題演習をする、というものでした。センター後、全力で東工大AOにシフトすることを決めた時、まず、東工大HPにあった過去問の全体を軽く見つつ、最新であった2016年の問題を解きました。面接の内容も(おそらく学校やべ○ッセマ○ビジョンなど見られると思われますが)データベースで確認し、傾向を確認しました。過去問を全部やって苦手範囲も確認したら、生物標準問題精講を少なくとも2周は回しました。発生や遺伝子が頻出のようだったので、特に重点的に取り組みました。面接は、過去のノーベル賞が聞かれそうな気がしたので、過去問は完璧にしつつ過去のノーベル賞受賞者について調べ、特に話題にできそうな女性受賞者について話せるようにしました。

■当日

当日はスーツで受験会場に向かいました。周囲の受験者はたまに私服がいるくらいでほぼ全員が学生服を着ており、みんな若いなあと自分が浪人生であることを実感した瞬間でした。

筆記は過去問よりも簡単で、解いていて手応えがありました。一度解いたことのあるものに似た問題も出たので、おそらく筆記は合格点だろうという確信がありました。

面接までの待ち時間は、自分の苦手な分野を書きなぐったノートや、調べた過去のノーベル賞受賞者について、また志望動機などについて改めて確認しました。 緊張しながら迎えた面接ですが、なんとか切り抜けることができました。試験官だった教授の方々にも、非常に論理的に説明ができていて優秀であるとわざわざお褒めの言葉をいただきました。終わった後、廊下で面接会場まで案内してくださった方に緊張して死ぬかと思いましたと言ったところ、貴女ならきっと大丈夫ですよ、春に東工大でお待ちしていますと元気付けてくださったので、ドキドキしつつも少し安心して合格発表を待つことができました。その節はありがとうございました。

■追記

開示が出たのでワクワクしながら見たらあんまり良くなくて残念でした。まあ受かったので良いのです。7類AOは入学後の物理と微積の成績がひどいことが多いと良く聞きますので、もし7類AOで合格した人は3月中にきちんと高校範囲を終わらせることをお勧めします。私は終わらせることができませんでした。


❐ 7類(現 生命理工学院) N.K. 現役

予備校 東進ハイスクール
センター得点 792/950 (自己採点)
本試験得点 72.3/100

■併願先・合否

・東京海洋大学海洋科学部 未受験

■受験のきっかけ

私が東工大を受験することを決めた最も大きな理由は、7類AO入試の試験科目が生物のみだったからです。実のところ、私は東工大を視野に入れる前は、東京海洋大学のみを受験するつもりでした。深海生物に興味があったので、その方面の勉強がしたかったからです。そのため、好きな生物と二次試験で使う数学ⅠA・ⅡB以外は必要最低限しか勉強しておらず、センター試験レベルがせいぜいのところでした。しかし、海洋大に落ちたら即浪人決定という危なすぎる受験計画に周りの人からの批判を受け、やっとの思いで探し出した生物のみで受験できる大学が東工大でした。

■対策

筆記試験では記述問題がほとんどだったので、私は『東大の生物25か年』という問題集をひたすらやっていました。私の高校や予備校には添削してくれる先生がいなかったので、自力で、もっとこうした方がいいのではないか、とブラッシュアップしていきました。また、私は新聞記事を読むなどの特別な対策はしていなかったのですが、面接の中で「3年前にノーベル生物学賞を取った人の名前を知っているか」などの質問もされたので(私は答えられませんでした)、もっと詳しいところも対策をしておけばと後になって思いました。面接の対策としては、よくある質問に対する答えを前もって口語で書いていました。口語で書くことによって、実際に話すイメージがつかみやすくなると思います。

■当日

あまりにも無謀な挑戦だと思っていたので、逆に緊張していなかったのを覚えています。予備校の先生にもらったチョコレートを食べながら、資料集や過去問を見て試験開始時刻まで過ごし、集中力を高めました。面接では掴みが大切だと言われていたので、最初の質問では大好きな深海の環境と生物の有用性について長々と語りました。面接官の方に「他に興味のある資源はありますか?」と訊かれ、「ね、熱帯雨林とか、ですかね…」としか答えられなかった時には“これは落ちたな”と思いましたが(笑)。適度な緊張感で試験に臨めたことがよかったのだと今も思っています。

P.S. 生物一本で入学した私は必修の微分積分学の単位を落としたり、力学の再試をくらったりしました。それでも、周りの優秀な友達に勉強を基礎から教えてもらったり、7類AO入試での入学者用の物理相談室を利用したりして、今は何とか留年の危機から脱しようとしています。「物理を使わないで入学できるのは嬉しいけど、入学後の勉強が不安…」なんて方も、是非受けてみてください。


LANDFALLについて

このブログは、東工大の学生サークル「LANDFALL」の部員が執筆しました。

LANDFALLは、学生のための情報冊子を作成しているサークルです。

主な制作物は、毎年新入生に配布している「TOKO WALKER」という冊子です。新入生が大学生活のスタートダッシュを切ることができればとの想いで制作しています。

また、LANDFALLは研究室紹介記事も作成しております。「LANDFALL」は研究室紹介冊子として1986年に創刊され、現在92号まで発行されています。オンラインで記事を公開しておりますので、ぜひご覧ください。

また、この記事を読んだ受験生の皆様が東工大に入学した際には、是非LANDFALLの部室にもお越しください。