2021年10月28日に投稿

東工大総合型選抜(旧AO入試)合格体験記 2020年その2

現在の東工大入試では「総合型選抜」という名称になりましたが、その前身となる東工大AO入試に合格したLANDFALLの部員の合格体験記です。 執筆時点で今年度の総合型選抜の出願は既に終わり、受験生のみなさんは共通テストの勉強に勤しんでいるかと思います。以下の内容は過去の事例であり、みなさんが受ける本番の入試とは大きく違うかもしれないので参考程度にご覧ください。 一般入試のみを受験するのとは違い、色々と準備や、大変な思いを経験されるとは思いますが、みなさんにとってよい道が開かれますように。


❐ 環境・社会理工学院Bを受験

目次

  1. 結果
  2. 受験のきっかけ
  3. 冬までの対策
  4. センター試験
  5. 第一段階選抜通過から前日まで
  6. 当日
  7. 受験生に伝えたいこと

1. 結果

予備校 某大手予備校
センター得点 808/950
本試験得点 86/100

  • 大阪大学 未受験
  • 横浜国立大学 未受験
  • 早稲田大学 未受験
  • 東京理科大学 不合格

2. 受験のきっかけ

受験機会が増えるというのが第一の理由。また、一個上の先輩が同じ環社BのAO入試で合格しており、自分もできるかもしれない、と思ったため。

3. 冬までの対策

この学科のAO入試は他の学科(工学院など)と違い、高校物理・数学とその延長を扱った試問をあまり行わない傾向にある、と過去問を見て判断しました。なので、受験がまだ遠くないうちは「大学の研究内容を知る」ことと「これから学ぶことの入門的知識を知る」ことに重点を当てました。前者についてはオープンキャンパスに参加してみたり、研究室のウェブサイトを勉強の息抜きに見たりしました。大学で何を勉強し、どの専門性を持つ先生がいるのかを知ることは、本番の面接でも役立ちました。また、習慣的に新聞を読んだり朝のニュースを聞くようにして現代社会や最近起きた災害についての知識を得るようにしました。

12月に近づき、センター試験が迫ってくると、二次試験の勉強に加えてセンター試験の勉強も本腰を入れました。私立のセンター利用は出願していなかったものの、国公立の受験ではセンター試験の点数が響いてきてしまうので点数が低い科目を中心に対策をしました。(と偉そうなことを言っていますが、結果を見るとAO入試受験者の中では低い方になりましたね…)

12月にはAO入試の出願もありややバタバタした月になりました。志望理由書が中々書けなくて苦しみ&叱られましたが、何とか仕上げ、念を入れて時間に余裕をもって封筒を郵便局に持っていきました。出願書類は必着であり、郵便局は忙しい時期に当たるので早めに送るのをお勧めします。

4. センター試験

当日は、数学の試験終了後「やらかした…」と思うほど手ごたえがなく、同じように期待通りにならなかったと見える同部屋の受験者が泣き出すようなこともあって半ば悟ったような気持ちになりました。しかし家に帰って自己採点をすると、得意科目がほぼ完璧で苦手科目の失敗を穴埋めする結果となり、まずまずの点数であることが分かりました。しかし、決して誇れる点数ではなく、1段階目の選抜突破も微妙だったのでもやもやしながら前期の二次試験対策をしていました。

5. 第一段階選抜通過から前日まで

選抜が通ってからは勉強の合間に本を読むようにしました。面接で話せるような知識が足りないと感じたので岩波ジュニア新書や高校の図書館にある土木関連の書籍を借りて読みました。中には東工大の先生が書いた本もあって、その本の中身は面接や大学での勉強に活きています。 試験自体の対策は、予備校で2回ほど模擬面接(といっても入室から志望理由を言って退出するだけ)を行い、さらに過去のAO入試のデータを閲覧しました。前者は単純すぎて不要だと思いましたが、志望理由をすらすら言えるということが本番の大きな安心材料になりました。また、面接で自分の話し癖を知り、話をコンパクトにまとめる練習などもできて大変有意義でした。過去の東工大AO入試のデータは他の学科の資料ばかりだったため直接は役に立っていません。ただ、あるとかなり安心できるものだと思います。予備校では積極的にこうしたデータを集めているので、ダメ元で過去の受験体験記が残っていないか相談することをおすすめします(特に大手予備校に通っている方)。

6. 当日

環社Bの試験は午前と午後があり、午前は西2・3号館内の教室での筆記試験でした。筆記試験の過去問は大学が上げている通りです。90分で2問、数学物理でごりごりと解くものではなく、国公立後期の小論文試験みたいな感じでした。時間は過不足なくあるので資料をしっかりと読み、書くことを余白にまとめ、焦らず書くようにしました。実のところ、過去の筆記試験でレゴブロックが出てきたと聞いていたので、今年は普通の作文2問かと内心驚いていました。

昼休みは午前の教室、午後の緑が丘の教室どちらでも食べられました。筆者はこんな極限状態で受験者と一緒にご飯など食べられないので午前の教室に一人残って食べました。唐揚げがおいしかったです(お母さんありがとう)。

午後は面接でした。面接は受験番号順に呼ばれます。私は10人中2人目でした。中学校の入学試験での面接順が遅くてあまりいい思いをしなかった(早く帰りたかった)ため、早くて助かりました。

午後の面接は受験者一人に先生が5人か7人程度囲むというとてつもない圧迫面接でした。しかも部屋が狭いので圧迫感がさらに増しました。 まずは志望理由を手短に言うように言われました。ここで模擬面接での経験が活きました。手短なスピーチが頭に入っていたので慌てずに話すことができました。 そのあと、左に座っていた先生から突然英語で質問されました。リスニングには自信があったので、意味は咄嗟に理解しましたが、いかんせん英語で応答できないことに気づきました。しかし沈黙は良くないと思いとりあえず英語でたどたどしく応答し、最終的には日本語で話しました。この時、内心で「終わったな…」という気持ちが頭をよぎりながらも、「こんな状況で英語をすらすら言える受験生はいる訳がない!ここから立て直せば最後の一人に滑りこめるだろう。」と開き直りました。 想定外の質問の後は想定通りの質問が並び、志望理由書に書かれた内容にかかわることや自分の住む町に対する考え、防災に対する考え、学校での活動内容を答えました。ここでは志望理由書を考える際に関連知識を調べたこと、事前に研究室のウェブサイトからどういう専門の先生がいるか確認したことが良かったと思います。目の前にいる先生方に対して「この先生、ウェブサイトで見た方だ!」と一人でも思うだけでも安心できました。

◎受験生に伝えたいこと

ここまでご覧いただきありがとうございます。 今回このブログを執筆していて、自分の受験において重要な要素が「開き直り」だと気づきました。この学科のAO入試はレゴブロックや英語の面接など「想定外」が必ず起こる(であろう)入試でした。つまり、一般入試と違い事前にできる対策は限られています。そのため志望理由の口述など、安心材料を増やして心の余裕を作ることしか対策はないです。 できる限り準備してそれでも失敗してしまったり、試験途中で取り返しがつかないことに気づいたりしたときはすぐに気持ちを切り替えることを推奨します。共通テスト・一般入試は2日間もありますし、総合型選抜は午前と午後に分かれています。合否は全日程のパフォーマンスの合算だということを意識すれば、これからの時間こそが勝負だと分かるはずです。 最後にこの試験特有のアドバイスをすると、面接は対話なので一回に言いたいことを全てまとめる必要はないと言いたいです。自分が言いたいことをただ伝えるのではなく、相手が知りたいこと(質問)に対して的確に独自性をもって答える中で自分をいかにアピールできるか、面白く思ってもらえるかがカギだなあと個人的には思います。 面接全体においては自分の伝えたいことを全て言って悔いなく帰りましょう! (偉そうなことを言ってとてもはずかしい筆者より(//・_・//) )


LANDFALLについて

このブログは、東工大の学生サークル「LANDFALL」の部員が執筆しました。

LANDFALLは、学生のための情報冊子を作成しているサークルです。

主な制作物は、毎年新入生に配布している「TOKO WALKER」という冊子です。新入生が大学生活のスタートダッシュを切ることができればとの想いで制作しています。

また、LANDFALLは研究室紹介記事も作成しております。「LANDFALL」は研究室紹介冊子として1986年に創刊され、現在92号まで発行されています。オンラインで記事を公開しておりますので、ぜひご覧ください。

また、この記事を読んだ受験生の皆様が東工大に入学した際には、是非LANDFALLの部室にもお越しください。